毎月の保守点検費を支払っているのに、故障のたびに別の請求が届く。機械式駐車場の管理では、こうした状況が珍しくありません。

原因の多くは、契約の形態にあります。機械式駐車場の保守点検契約は2種類あり、どちらを結んでいるかによって月額に含まれる範囲がまったく違うためです。理事が交代するたびに契約内容が引き継がれず、支払いだけが続いているケースも見られます。

契約の中身を把握できていなければ、見積もりを取り寄せても金額の妥当性を判断できません。結果として、割高な契約を何年も続けることになります。

この記事では、POG契約とフルメンテナンス契約の違い、それぞれに含まれる作業と別料金になる範囲、費用が変わる条件、契約を見直すべきタイミングを解説します。現在の契約が装置に見合っているかを確かめたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事のまとめ

  • 機械式駐車場の保守点検契約は、POG契約とフルメンテナンス契約の2種類に分かれる
  • 違いは点検作業の内容ではなく、部品交換と修繕を月額に含めるか、都度の別料金にするかにある
  • POG契約は月額を抑えられるが、部品交換のたびに費用が発生し年間総額が読めない
  • フルメンテナンス契約は月額がPOG契約の約3倍になる代わりに、突発的な支出が起こりにくい
  • 天災・人災による被害と塗装は、どちらの契約でも対象外となるのが一般的
  • 費用は契約形態だけでなく、装置の方式による点検回数(年4回〜年12回)と設置環境でも変わる
  • 現在の契約形態は、契約書の「別途費用」の項目に部品交換が含まれるかどうかで判別できる

毎月の保守点検費に何が含まれているかを把握できていなければ、見積もりを取り寄せても金額が妥当かどうかは判断できません。まず確認すべきは、現在の契約がどちらの形態にあたるかです。

見直しの適期は、部品交換の請求が増え始める設置15年前後です。ただしフルメンテナンス契約は途中で解約しても既に支払った分が戻りません。切り替えを検討する場合は、契約更新の時期に合わせるのが現実的でしょう。

毎月の点検費用に何が含まれているか把握できていますか

「毎月の保守点検費を払っているのに、故障のたびに別の請求が来る」という相談は少なくありません。管理組合の理事が交代するたびに、契約内容が引き継がれないまま支払いだけが続いているケースもあります。

原因の多くは、契約の形態にあります。機械式駐車場の保守点検契約は2種類あり、どちらを結んでいるかによって、月額に含まれる範囲がまったく違うためです。

なお保守点検そのものは、建築設備の定期報告のような法定点検ではありません。ただし国土交通省は駐車場法第15条第2項に基づく「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針」で、管理者が必要な知識と技術力を持つ事業者を選定し、契約を結ぶよう定めています。契約の中身を把握しておくことは、管理者の役割の一部にあたります。

機械式駐車場の保守点検契約は2種類に分かれる

契約形態は、POG契約とフルメンテナンス契約の2つです。点検作業そのものの内容に大きな差はありません。分かれ目は、部品交換と修繕の費用をどう扱うかにあります。

  • POG契約:点検と消耗品までを月額に含め、部品交換や修繕は都度請求する
  • フルメンテナンス契約:将来の部品交換や修繕の費用まで月額に含める

現在は、月額を抑えられるPOG契約を選ぶ管理組合が多くなっています。

POG契約に含まれる作業と別料金になる範囲

POGは、Parts(部品)、Oil(オイル)、Grease(グリス)の頭文字をとった呼び方です。名前のとおり、日常的な消耗品までを対象とする契約になります。

月額に含まれる内容

  • 定期点検と動作確認
  • チェーンや駆動部への給油
  • グリスの補充
  • 軽度な消耗部品の交換

別料金になる内容

  • 主要部品の交換
  • 故障発生時の修理
  • 経年劣化にともなう修繕工事

月々の負担は軽く済みます。一方で、部品交換が必要になるたびに費用が発生するため、年間の総額が事前に読めません。修繕積立金から別途支出する前提で計画を立ててください。

フルメンテナンス契約に含まれる作業と別料金になる範囲

フルメンテナンス契約は、通常の点検に加えて修繕費用まで月額に組み込む契約です。設置から10年後、15年後に交換が見込まれる部品の費用も、あらかじめ月額に含まれています。

月額に含まれる内容

  • 定期点検と動作確認
  • 消耗部品の交換
  • 主要部品の交換
  • 経年劣化にともなう修繕

別料金になる内容

  • 地震や水害など天災による被害
  • 利用者の操作ミスや過失による破損
  • 装置の塗装

突発的な出費が発生しにくく、長期修繕計画を立てやすい点が利点です。ただし注意したい条件があります。契約の途中で事業者を変更した場合、それまで支払った分は返金されません。将来の部品代を前払いしている構造のため、解約のタイミングによっては負担が二重になります。

2つの契約の違いを一覧で比較する

項目 POG契約 フルメンテナンス契約
定期点検 含まれる 含まれる
給油・グリス補充 含まれる 含まれる
軽度な消耗部品 含まれる 含まれる
主要部品の交換 別料金 含まれる
故障時の修理 別料金 含まれる
天災・人災による被害 別料金 別料金
塗装 別料金 別料金
月額の目安 基準 POG契約の約3倍
年間総額の見通し 立てにくい 立てやすい
途中解約時の既払い分 影響が小さい 返金されない

月額だけを見ればPOG契約が安く見えます。しかし部品交換が重なる時期に入ると、都度の請求が積み上がり、結果として総額が逆転する場合もあるでしょう。

機械式駐車装置の保守点検の費用が変わる3つの条件

見積もりを取り寄せて、金額の差に驚いたという声もよく聞きます。差が生まれる要因は次の3つです。

装置の方式による点検回数の違い

点検回数は方式によって年4回から年12回まで開きがあります。毎月の点検が必要な方式では、1回につき約20,000円として年間約240,000円かかります。年4回で足りる方式なら、同じ単価でも年間約80,000円です。同じ台数でも3倍の差が生まれます。

契約形態の違い

フルメンテナンス契約の月額は、POG契約の約3倍が目安です。将来の修繕費を月額に分散させているため、単純な割高ではありません。

設置環境の違い

ピット式は排水設備の点検が加わるため割高になりやすい傾向があります。地下設置や海沿いの物件では、腐食対策の確認項目が増えます。

見積もりを比較するときは、金額だけを並べても判断できません。点検回数、契約形態、別料金の範囲をそろえたうえで比べてください。

機械式駐車装置の保守点検契約を見直すべきタイミング

契約を結んだまま、一度も内容を確認していない管理組合は多くあります。次の状況に当てはまる場合、見直しを検討する時期です。

  • 設置から15年前後が経過し、部品交換の請求が増えてきた
  • 年間の修繕費が読めず、予算の組み立てに苦労している
  • 長期修繕計画を更新する時期を迎えている
  • 契約更新の時期が近づいている
  • 故障時の対応が遅く、利用者からの苦情が出ている

フルメンテナンス契約から切り替える場合は、既払い分が返金されない点を踏まえ、契約更新のタイミングに合わせるのが現実的です。POG契約であれば、更新時期にかかわらず比較検討を進めやすくなります。

装置全体の更新を視野に入れる段階であれば、判断材料が変わります。更新費用は駐車装置のタイプにもよりますが、1パレットあたり150万円程度が目安です。契約の見直しと更新の検討は、同じ時期に並べて考えてください。

機械式駐車装置の保守点検契約書で確認したい項目

現在の契約がどちらにあたるか分からない場合は、契約書の次の箇所を確認してください。

  • 「別途費用」「有償対応」の項目に、部品交換が含まれているか
  • 年間の点検回数が何回と記載されているか
  • 点検報告書の提出時期が定められているか
  • 故障時の対応時間と受付体制が明記されているか
  • 契約期間と、解約時の取り扱いがどうなっているか

部品交換が別途費用と記載されていれば、POG契約に該当します。記載が曖昧な場合は、事業者に書面での確認を求めましょう。

機械式駐車場の保守点検契約に関するよくある質問

ここからは、機械式駐車場の保守点検契約に関するよくある質問に回答していきます。

POG契約とフルメンテナンス契約は途中で変更できますか

契約更新のタイミングであれば変更できます。ただしフルメンテナンス契約から変更する場合、それまで支払った将来分の部品費用は返金されません。更新時期に合わせて検討してください。

月額が安い事業者に変えても点検内容は変わりませんか

点検項目は国の指針で標準的な内容が定められています。金額差の多くは、点検回数と契約形態の違いによるものです。見積もりを比べる際は、回数と別料金の範囲をそろえて確認しましょう。

管理会社を通さず、直接契約することはできますか

管理組合が事業者と直接契約を結ぶことは可能です。管理会社経由の場合、仲介にともなう費用が上乗せされているケースもあります。

契約書が見当たらない場合はどうすればよいですか

管理会社または事業者に写しの発行を依頼してください。あわせて過去の点検報告書と修繕履歴を取り寄せると、現在の契約内容と装置の状態を同時に把握できます。

フルメンテナンス契約なら修繕費は一切かからないのですか

天災による被害、利用者の過失による破損、塗装は対象外となるのが一般的です。契約書の除外項目を必ず確認してください。

まとめ

機械式駐車場の保守点検契約は、POG契約とフルメンテナンス契約の2種類に分かれます。違いは点検の内容ではなく、部品交換と修繕を月額に含めるかどうかにあります。

契約を確認するときの手順を整理します。

  • 契約書の「別途費用」の項目を見て、現在の契約形態を特定する
  • 年間の点検回数が、装置の方式に対して足りているかを確かめる
  • 直近数年の修繕費の実績を合計し、月額との総額で比較する
  • 契約更新の時期を確認し、見直しのタイミングを決める

月額の金額だけでは、契約が適正かどうかは判断できません。別料金の範囲まで含めて総額で比べることが、費用を抑える近道になります。

機械式駐車場の保守点検のご相談なら株式会社アイ・エー・エス

株式会社アイ・エー・エスは、機械式駐車装置の保守・修繕を専門に手がけています。

定期点検では重要なチェックポイントを中心に細部まで確認し、点検内容は写真つきの報告書にまとめてご報告します。24時間365日の対応体制を整えているため、突発的なトラブルにも速やかに対応が可能です。

現在の契約内容が装置に見合っているか判断がつかない、見積もりの妥当性を確認したいといったご相談も承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。